影響しているもの②

 

薬の他に大きく影響していると感じるのが、ホルモン周期と言えばいいのか、女性特有の1ヶ月内のリズムのようなものである。

 

若いころはそんなこと考えもしなかったし、放っておいてもそれなりに体調も精神状態も順調だった。

 

私は目に見えないものが理解できない頭なので、ホルモンなどと言われてもピンと来なかった。

 

形ないホルモンというものが、これまた形のない精神に働きかけるという構造をイメージできるだけの想像力が、私には欠如していた。

 

しかしそんな私でも、妊娠と出産を経て、あまりの変化にいろいろな部分が狂ってしまったのか、不安定な時期が数年続いた。

とはいえそれも体調的なことだけだったので、そのうち戻るだろうと軽く考えていた。

 

PMS(月経前症候群)という言葉もこの頃あたりから聞き覚えがあったような気がする。

けれども、私の中で月経イコール身体のこと、という思いが強く、精神的に何か影響があるなんて考えもしなかった。

もちろん、実感もなかった。

 

しかし、鬱病になり、自分の病状についてほんの少しずつではあるが分かりかけてきて、初めてこの女性ホルモンたるものが精神に与える影響は、計り知れないと感じるようになった。

 

本当に自分でも驚くほど、このホルモン周期と、気分の落ち込み期に関係があるように思われるのだ。

 

PMSは月経前の症状を指すそうだが、私の場合、月経前と、(恐らく)排卵の前後が要注意の時期だ。

どちらもホルモンが大きく変動する時期らしい。

 

自分も正確には周期を把握していないし、そもそも周期自体がいまいち定まらず不安定なので絶対にその時期だとは言えないが、だいたいその辺りで妙に不安な気分になったり、例えようのない絶望感に襲われたりする。

 

何のホルモンがどう働いて気分が落ち込むのか、それはまったく分からないし、そもそもが気のせいなのかもしれない。

 

でも、「自分はこういう時期にうつ症状が強まりやすい」と(たとえ思い込みだとしても)思っておくことは、良いことではないだろうか。

 

普段よりも気持ちが沈んでしまう時に、「そういえばそういう時期だった。だから仕方ない」と少し割り切り、安心できるからだ。

 

「病気が悪化したのだろうか」「自分はやっぱりダメだ」と必要以上に悩んだり自分を責めたりして、更に落ちて行ってしまうのを防ぐことができる。

 

私は主治医が男性なので、そういうことは話したことがない。

でも、もしこれを読んでくださっている方で、そんな話が気兼ねなくできる関係のお医者さんがいらっしゃったら、ぜひ一度お聞きしてみたいものだ。