診断のきっかけ②
受診した理由は、寝られないこと以外にもうひとつあった。
自分がしているおかしな行動に、理由を付けたかったから。病気だからこんなことしているんだ、という言い訳がほしかった。
人と会うのが怖くて、逃げてしまう。
通勤電車で、突然泣き出す。
ちょっとしたきっかけで、人前でも大声で怒鳴る。
突然動けなくなる。
表情が作れない。笑えない。
今まで普通にしていたことができない。
抑えることが当たり前だった気持ちや行動が抑えられない。
どうなってもいい、どう思われてもいい、その時はそう思ってしまう。とにかく今のこの苦痛から逃れるためには、この行動をとるしかない、そう思って歯止めがきかなくなる。
でも、やってしまった後、少し冷静になった瞬間にものすごい後悔に襲われる。
だから、この私は普通の私じゃない。
この私は、違う私だ。
原因がほしい。
理由がほしい。
言い訳がほしい。
周りからの「疲れてるんだよ」「大丈夫?」「そのうち治まるよ」みたいな根拠のない慰めも、勝手な憶測も、とりあえず心配してる感じの声かけも、苦痛でしかない。
「あなたに何が分かるの」
それしか思えなかった。
私はただ、しかるべき人からの、「病気だから仕方ないですよ」の一言がほしかった。