診断のきっかけ①

 

病院に行って診断されなければいつまでも病名は付かない。

それはどんな病気でも同じ。

だから病院にさえ行かなければ、私は今でも鬱病ではなかったのかもしれない。

 

それでも私が病院に行ったのは、とにかく助けてほしかったから。

あの時いちばん辛かったのは、寝られなかったことだった。

身体も頭もどれだけ疲れても、全く寝られない。布団に入ってから何時間も寝られず、そのまま朝を迎えることもあった。

 

寝付けたとしても、悪夢で目が覚める。悪夢といってもお化けや殺人鬼が出てくるわけではなく、普段の生活をなぞったような感じの、生活のちょうど嫌な部分や不安な部分だけをピックアップしたような気持ち悪い夢。

 

このままだと忘れ物や遅刻をするのが分かってるのに、ちゃんと動けない夢。何も勉強していないのに、今日○○のテストだ!と焦る夢。前に進もうとしても、脚がだるくて動かせなくて、ちっとも前に進めない夢。

 

はっと目が覚めて、良かったと思って時計を見ると、さっき眠れずに悶々としていた時刻から一時間も経っていない。

 

あと何回このサイクルを繰り返せば、朝になるんだろう…と絶望する。そんな事ばかりだった。

 

もちろん昼間も辛い。仕事に行くときに既に疲れているし、仕事が終わっても、これから帰って家のことをして、本当なら休めるはずの時間にはまた不眠と悪夢と闘う…の繰り返し。

 

毎日に何の救いもなかった。

ただ、朝も昼も夜も、怖かった。