「育った環境」の後日談のような感じで読んでもらえたらありがたい。
大学を卒業した私は、近隣の他府県で仕事についた。
その頃姉は独り暮らしを始めていて、ほとんど顔を会わせることもなかった。
しかし、ある日私が仕事から帰ってくると、母が神妙な顔つきで話しかけてきた。
姉が妊娠し、子どもを産むために帰ってくるというのだ。
事が発覚するまで、両親は相手の顔を見たこともなかったらしい。当然結婚もしていない。
しかも相手はかなり年上のバツイチだというではないか。
私は呆れかえった。
奔放、無計画すぎるにも程がある。
両親は当然産むことに反対したそうだ。
でもそこはあの姉のこと、また進学問題の時の駄々こね再来だ。
相手も、大事にしますから何とか、と頼み込んできたらしい。
けっきょく両親は、結婚することはもちろん、諸々の条件を出したものの、最終的には出産を許可してしまった。
私は怒りに震えた。
誰に、何に対してなのかは分からない。
自分勝手な姉にも、自分の都合しか考えない相手にも、こんなバカげたことを許した両親にも、そしてこんな事が繰り返される家庭環境そのものにも、もう我慢ならなかった。
姉が帰ってくるなら私が出ていく、と言って私は家を出た。
必要最低限の荷物を、当時乗っていた中古の軽自動車に詰め込んで、問題勃発の数日後には出発していた。
行き先も、誰と一緒にいるのかも、何をしているのかも、両親には何も告げずに出て行った。
今までの全てに対する、反動としての私の初めての反抗だった。