クリニックで
あの件から私の精神状態は少しずつ悪化した。
そして、最終的に以前話したようなレベルまでいってしまい、クリニックの門を叩くことになったのだ。
近所のクリニックはまだ新しいようで、口コミがなく、良いところなのか分からなかった。
電話で予約をとり、いよいよ受診当日。
自分でも驚くほど緊張はなかった。緊張ではなく、これでやっと何かが変わるという安心感とか期待のようなものが大きかった気がする。
診察開始時間ぴったりにクリニックに入ると、そこにはすでに人、人、人…
こんな言い方は良くないとは分かっているけれど、一見して普通の人ばかりだった。年代もいろいろ。
こんなにたくさんの人が精神的に何かを抱えているのか、と驚いた。
受付で渡された問診票は、A4四枚ぶんあった。
名前、年齢、住所にはじまり、受診理由、家族構成、職業、生育歴などがあったような気がする。
メンタルの不調は、風邪や骨折と違って「はい治りました、もう来なくていいですよ」という治療の終わりが分かりづらいし、期間も読めない。
それに、不調にその人の性格や生活環境が関わっていることが多いから、きっとこんなにいろいろ聞かれるんだろうな…と勝手に分析していた。
そもそも私は、相手の気持ちや言葉、行動の意味を考えすぎてしまう癖がある。それが、たかがクリニックの問診票相手にも出てしまった。
相手が人の場合は、勝手にマイナスの意味にとらえて、勝手に悩むことが多い。それもメンタルをやられる原因なんだと思う。
問診票を記入し終わって、しばらく待っていると診察の順番が回ってきた。
初めて、主治医との対面する時がやってきた。