育った環境①
どんな人がうつになるとかは分からないけれど、そういう状態になりやすい性格の人はいると思う。
そして、あくまで私個人の考えだけれども、生育歴も関係がないとは言い切れないと思う。
クリニックで問診票を書いたとき、家族構成や育ってきた環境などを書く欄もあった。
それを書きながら、私は今までの人生、特に、結婚して家を出るまでの自分の置かれていた状況を思い返していた。
私の家は、裕福ではなかった。
両親と姉、私、弟の3人兄弟の、5人で暮らしていた。
父の仕事が不定期で、母は身体がそれほど強くなく、なかなか仕事が続けられなかったのだ。
食べるものに不自由するほどではなかったものの、子どもながらふとした時に両親が見せる苦しそうな表情がつらかった。
なんで子どもは働けないんだろう。
働けたら、少しは家にお金を入れられて、お父さんとお母さんも楽になるのに。
そう、真剣に悩んでいた。
中学校まではまだ良かった。
でも高校進学から、やはりお金の問題が頻発するようになってきた。
そのころは父の仕事の状況も本当に厳しくなってきており、それに加えて子どもにお金のかかる時期がやってきたものだから、今まで子どもの前では表立って家の経済状況のことは言わなかった両親も、いよいよ隠しきれなくなったのだろう。
家の環境が泥沼にはまりはじめたのは、姉の高校卒業後の進路を考え始めたころだった。
少し話が脱線するが、姉は生来奔放な性格で、人当たりは極めて明るく、友だちも多かった。親戚や近所からの評判も良かった。ただ、依存心が強く、自分が苦労するとか我慢するとか、そういうことをあまりしようとしない人で、家庭内では特にわがままだった。
対して私は内向的で人見知り、友だちも少ない。親戚からも、まやみはあんなので大丈夫かと心配される始末。神経質で心配性、ど真面目で、ひたすら我慢の人だった。
そんな性格の姉妹だから、もともと合うはずがなかった。
でも完全に亀裂が入ったのが、先ほど述べた姉の進学問題が持ち上がってきたときだった。