仕事と性格
私の今の職種は、うつで悩む人が多いそうだ。
通っているクリニックでも、同じ職業の患者さんが私の他にも何人もいるらしい。
私は、元来内向的で、ネガティブで、神経質な性格だ。人と向き合うことで精神的負荷を感じやすい。
でもおそらく世の中の人がこの職業に抱いているのは、明るく社交的で人好き、ポジティブ思考な人物像だと思う。
では私はこの仕事をイヤイヤやっているのかというとそんなことは全くなく、以前のブログを読んでくださった方はご存知かもしれないが、むしろこの職業に就くために猛勉強したほど、仕事そのものにたいしては愛着がある。
しかし、「好き」と「向いている」は違うとも思う。
私がこの仕事に向いているかといえば、恐らく答えはノーだ。
この職業でうつに悩む人が多いというのは、私が思うに、単純に人と関わる場面が多いという理由が一番大きいのではないだろうか。
1人でいるときより、誰かと関わることで当然何かしらのストレスは感じるもので、それが当人の中にどんな形で、どのくらいの量蓄積されていくかで、精神的身体的に出てくる症状も変わるのだろう。
負担が何も貯まらないという人もいるだろうし、私のように必要以上に相手の心理を想像(妄想?)し、疲弊する人もいる。
後者のような人間にうつ症状が出やすいのは自明のことだ。
この仕事をしている人にもいろいろな気質を持った人がいるし、私と似たような人もきっといるだろう。そういう人は、多少なりとも仕事の中で、人並み以上に気持ちに負担がかかっているのではないだろうか。
元気だったころ、私は仕事中こう思っていた。
目の前にいる顧客に対してだけでなく、同僚に対しても、自分に対しても。
「私はこの仕事が好きだし、向いている」
「私は明るく人好きな人間だ」
「私は喜んで人の前に立っている」
というふうに生きていた。
あのころの私は、どうだったんだろう。
本当にそう思っていたのだろうか。
そうであらねばならない、と思い込もうとしていたのではないだろうか。
頭のどこかで、本当は必死に演技しているんだ、と分かっていたような気がする。
鬱病になった今、私は
「本当の自分を包み隠し、適する性格を演じながら好きな仕事を続けている」
と自分のことを認識している。
そんなことに意味があるのか、職業を変えたほうがいいのではないか、と心配してくださる方がいらっしゃるかもしれない。
でも昔、自分自身をも騙しながら働いていたときよりは、今の方が割り切れた、すっきりした気持ちで働けているような気がするのだ。
向いてはいないが、好き。
本当とは異なる性格を演じてでも、やりたい。
不安定で二律背反、理不尽極まりない私の働き方に、共感してくださる方はいらっしゃるだろうか。